私たちSOMECは、性犯罪のない社会を目指し、主に性的な加害行為(痴漢や盗撮など)をやめたいと思っている方々に医学的・心理学的治療を提供している団体です。
日本でこのような活動をしている団体はまだ少なく、2010年の設立以降、多くの当事者やご家族からの相談を受けてきました。

最近、高校生をはじめとする若い世代を中心に、下着姿や裸の写真・動画をSNS等で送信する「セクスティング」を相手に強要したことが問題になって当センターに来られる方がいらっしゃいます。
性的な写真は一旦ネット上に流出すると簡単に広まる恐れがあり、時にはリベンジポルノなどの事件にもつながりかねません。

セクスティングってなに?

セクスティングとは、自撮りした裸の写真や動画などをネット上で送信することです。セックス(性的な)+テキスティング(メッセージ送信)から来る造語で、近年大きな社会問題となってきています。

  • ・付き合っている相手から「裸の写真を送って!」と言われて送った
  • ・気になっている人に「かわいいね。下着姿送ってほしい」と言われて送った
  • ・SNSで知り合った相手に「裸の画像を送ってくれたらお金をあげる」と言われて送った

これらは全て、セクスティングに該当します。

どこが問題なの?

2018年4月にまとめられた警察庁の調査では、2017年にSNSを使って犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもは1,800人を超え、5年連続で最多を更新しました。青少年保護育成条例違反の被害が702人と 最も多く、児童ポルノ570人、児童買春447人などが続きます。

児童ポルノの大半は、脅されたり騙されたりして自分の裸の画像を送信させられる「自撮り画像被害」で、被害者の9割弱は中高生でした。その際に最も多く利用していたのは「ツイッター」で、続いて「ひま部」「LINE」「ぎゃるる」等のSNSやアプリなどが続きます。

いずれも、皆さんにとっても身近なSNSだと思います。ちなみに最年少の被害者は8歳の少女で、加害者がYouTubeで公開していたアニメ動画をきっかけにSNSでやり取りするようになり、裸の写真を送信させられました。

普段の何気ないやり取りが、あっという間に犯罪に結びつく怖さを秘めているのが「セクスティング」です。これらの犯罪を受け、東京都は今年、青少年保護育成条例を一部改定、18歳未満の青少年に対して児童ポルノに当たる画像を不当に求める行為を罰則付きで禁止する規定を新設しました。

自分の写真を送ることの何が問題なの?と思うかもしれませんが、一旦ネット上に流出した写真を完全に消去するのは困難です。たとえば、付き合い始めた相手から「裸の写真を送ってよ」と言われ、恥ずかしいと思いながらも自撮りして送ったとします。

でも、もし1ヶ月後に気持ちが冷めたらどうなるでしょうか?自分は別れたいと思っても「写真を友達に送られたくなければよりを戻そう」と連絡が来るかもしれません。
「写真を名前付きで不特定多数に投稿する」と言われるかもしれません。
しかも写っているのは間違いなく自分の体。後から「送らなければよかった」と思っても取り返しがつかないのです。

警察庁「平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について」より(H30.4.26)

セクスティングを求められたら

まずは、信頼できる周りの大人に相談しましょう。言いにくいことかもしれませんが、悪いのはあなたではありません。なお、SNS上の相談は危険です。相手が別のアカウントになりすまして画像送信を勧める被害も確認されているからです。相談できる大人が周りにいない場合は、下記のホットラインも利用してみましょう。

携帯電話・PHS・プッシュ回線から利用可能

性犯罪被害相談電話

#8103

警察相談専用電話

#9110

セクスティングに興味が出たら

あなたは、セクスティングを持ち掛けたことがありますか?もしくは、持ち掛けたいと思っていますか?そのような場合は、まず当センターまで連絡してください。自分がなぜ裸の写真を送ってもらいたいと思うのか、どうしたら加害者になるのを防ぐことができるか、一緒に考えましょう。自分の気持ちだけで抑えるのには限界があります。

セクスティングを持ちかける動機は様々です。お金を得る目的、性的欲求を満足させるという目的はもちろんありますが、以前当センターに来たAくんは「(相手が自分を)信じているか確かめたかった」と話していました。

お金や性欲がなくなればやらないという単純な問題ではなく、「自分はなぜ写真を見たいと思ったのか」「相手は本当に嫌がっていなかったのか」「なぜ相手を傷つけることになるのか」といった様々な視点から自分の考え方を見直すことが、加害・被害を防ぐためにとても大切です。

周りの大人の方々へ

もしお子さんや身近な子どもからセクスティングの被害相談を受けたら、まず、悪いのはそのお子さんではないことを伝えてあげてください。それくらい、セクスティングは今の若い世代にとって身近で防ぎきれないものになっています。
もしお子さんや身近な子どもが加害側になっているかもしれないと思ったら、まずは落ち着いてください。そのお子さんは、自分が何をしているか分かっていない可能性もあります。
周りの大人だけで話し合う、解決するのが難しい場合は、当センターまでご連絡ください。

性障害専門医療センター(SOMEC)